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作品解説と対談:小金沢智×金子富之

金子富之さんは「森と人のミステリウム」で会津盆地の寺社仏閣を巡り、絵画作品の制作を行い、12月15日からは大和川酒蔵北方風土館で展示も始まりました。
展示も佳境を迎えた12月23日、金子さんご自身による作品解説と、小金沢智さん(美術評論家)を迎えて、金子さんとのトークのイベントを会場で行いました。

金子さんは、森を含め自然から感じ取った不可視の“モノ”の雰囲気や気配を、以前は飾りけない風景画として表現してきましたが、それはやがて精霊や妖怪、そして神になり、風景画のような元の形から、より記号的な形に変化してきたといいます。

本日は、まず昭和蔵で、森に縁ある妖怪や神仏を描いた旧大型作品の解説から始まりました。

冒頭画像の絵は、当日配られたパンフレットの表紙にもなった「天手力男神」で、(あまのたぢからおのかみ)、天岩戸を開けた神様です。
史実では、横から戸を開けたようですが、これだと力の表現としては弱いのではないかと考え、
筋肉の盛り上がりを表現し、現在のようなかたちにしたそうです。

「現代持衰」(げんだいじすい)

昭和蔵の作品解説が終わり、2階の天空回廊に移ります。

ここでは、金子さんが日常的に持ち歩き、日々の予定や絵の下描きを書きためている「ドローイングノート」の展示を行いました。

制作の過程や金子さんの日常生活までもが垣間見えるノートです。
その数、約200点。
喜多方でも、願成寺の会津大仏のスケッチや、制作現場での心象を綴ったものを展示しました。

喜多方市街地の小田付通りの裏にある木材店、渡部木材の木材を活かし制作した作品です。


 
会津の鎮守の森を巡り制作した作品の展示は、2階小部屋の大正ロマン室で行われました。


「光の気流」


「森で揺れ続けるもの」


「渡部木材工業のパワー」

金子さんの表現は、会津での制作をする中で、現代的な絵画表現(記号として妖怪や神仏を描いたもの)から、元型(風景画)に原点回帰してきたと言います。

「一度もその場を訪れたことがないのに、何故か慕わしい感じがする。」
「心を過去の時間軸に移動させてしまうような場所が、会津盆地の至るところに存在する。」
「妖怪や神仏が描かれた、華やかで面白みのある作品を制作するよりも、その場所から感じる幽かな気配に目を向け、正直に描いた。」

いずれも金子さんの言葉です。
絵にはそれぞれ、ありのままに描くことで見えてくる、森の幽かな気配や、その奥底にあるなにか巨大な法則のようなものが描かれています。
金子さんの作品は、参加者がそういったことを感じ取る装置として働いたようですが、これを機に、より多くの心ある人が直に森に足を運び、そこで静かに時間を過ごすおもしろさや、不思議さを知っていただければ、と喜多方スタッフは願います。

金子さんがこれらの作品群をしばし解説した後、小金沢さんとの対談が始まりました。

美術評論家である小金沢さんは、金子さんの絵を『月刊ギャラリー』という美術雑誌で紹介したことがあり、それがきっかけで今回の対談が実現しました。

対談は、展覧会内容の話にとどまらず、会津の森と対峙した際の金子さんの身体感覚の話など多岐に渡りました。
また、金子さんの作品制作に良い影響を与えているという合気の実演や、参加者自らの内にある森に問いかける「森への質問」の時間などがあり、金子さんの内面世界が存分に感じられる、自由な雰囲気を帯びた対談でした。
トーク終盤には、参加者と金子さん&小金沢さんの闊達な交流も生まれていました。

(喜多方WG 佐川友美)

2014.12.23

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