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キックオフフォーラム「いま、森とアートを語る」

6月21日、土曜日。よく晴れた日。
今日は記念すべき森のはこ舟アートプロジェクトはじまりの日。出航となる、キックオフフォーラムの日です。

フォーラム前。スタッフも準備に余念がありません。やろうども錨をあげろ!…森のはこ舟に海賊は乗ってませんが。

受付の設置、スクリーンに移す画像の確認、ポスター貼り付け、各自昼食…。
乗組員たち、直前までドタバタの嵐の中、出航です。

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「森林文化の再生と未来について」と題したトークセッションのトップバッターは実行委員長の赤坂憲雄(福島県立博物館館長)です。森林文化について話しました。

「漆の木に傷をつけるんですね。そうすると、傷ついた漆が透明な涙をすぅーーーっと流すんですよ。一瞬でそれは飴色に変わるんですけども。人と自然はきっとこういう関係をずっと重ねてきたにちがいない。人間は自然を少しだけ傷つけて、そこから豊かな恵みをもらってきた…」

聴いている人の胸に透き通ってしみこんでいくようなお話でした。

続いて、福島県生まれの詩人であり、高校教諭でもある、和合亮一さん。森を表現する、というテーマでお話しいただきました。
なお、和合さんの詩はtwitterやオフィシャルサイトでご覧いただけます。
https://twitter.com/wago2828(twitter)、
http://wago2828.com/(和合亮一オフィシャルサイト)

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「(自作の詩を朗読した後で)震災後の私たちの悔しい思い、怒りや悲しみ。それを表現してゆく中でなにが起こるか。震災をもう一度呼び覚まし、辿りなおす、私たちの呼吸や間が生まれます。それは紙の上や言葉では表しきれないものかもしれない。(中略)森というキーワード、私はそれを言葉にたとえます。震災後の福島を表す言葉をたくさん見つけ、つなぎ、集め、…それがひとつひとつ立ち上がってくるとき、私は私なりの森を見つけるでしょう」

和合さんにとって言葉にすることは、木を1本1本植える植林のような行為でしょうか。正に和合さんにしか語れないスピーチでした。
和合さんのお話を受けて、バトンはJT生命誌研究館館長である、中村桂子さんへ。

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森の生命誌というテーマでお話しいただきました。

「38億年前、細胞をもったひとつの祖先から私たち生きものは生まれた」「あらゆる生きものは自分の身体の中に38億年という歴史を抱え込んでいる」というお話を踏まえ、「森は木が3つで成り立っているわけじゃない。森の間には花粉を運ぶ蜂とか、あらゆる生きものが森を支えて、始めて森が成り立つんだ」とお話をいただきました。

38億年という時間。生物の多様性。それがあって今の森があるんだという、科学者の視点を持つ中村さんのお話でした。
間発入れずに、赤坂館長、和合さん、中村さん、3人での鼎談へ移ります。

ここでは、3人のトークの全体の内容を受け「エネルギー」が語られました。
原発を必要とする大都市一極集中の暮らしをどうやって崩していくか。地域分散型のナリワイのある生きかたを、それぞれの場所でエネルギーを確保しながら、どうやってつくっていくか。震災後、自分たちに突きつけられた問いが、再度浮かび上がったようでした。

休憩をはさみ、森のはこ舟アートプロジェクトの事業説明へ。
http://www.morinohakobune.fukushima-art.jp/concept/
(事業説明に関しては森のはこ舟アートプロジェクトHPをご参照願います)

そして、アーティストトークへ。今年度プロジェクトに関わるアーティスト12人のうち4人に登壇いただきました。
※画像は左から、逢坂卓郎(三島参加作家)、片桐功敦(西会津参加作家)、岩間賢(喜多方参加作家)、EAT&ART TARO(三島参加作家)※敬称略

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アーティスト。赤坂館長の言葉を借りれば「合理性から少し外れたところに生きている不思議な人たち」。
彼らはそれぞれの地域の視察を踏まえ、現時点で森をどんな風に捉え、どんなことをしようとしているのでしょうか。森のはこ舟アートプロジェクトに対してどんな思いを抱えているのでしょうか。ここではブログ作成者の判断で、それぞれのアーティストのお話しから一言ずつ抜粋、要約して掲載します。なお、4人のプロフィールはこちらでご覧いただけます。

逢坂卓郎さん
「三島町の自然エネルギー研究会がつくったミニ水力発電機で起こしたエネルギーで、いくつかの集落に点々と灯りをともしたい。自然エネルギーを目に見えるかたち、光にすることを構想しています。」

片桐功敦さん
「花。それは森と人をつなぐ、ちょうど境界線上にあるものだと思う。それをまとうことで少しだけ森の一部になれる。来週末の土日、西会津の大山祇神社の神楽殿を借りて、森のかみさまになれるようなワークショップを考えています。」

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※「草木をまとって山のかみさま」というプログラムを西会津で6月28・29日行います!

岩間賢さん
「喜多方の楚々木集落で活動を展開していく予定です。(このプロジェクトを通して)森の『はこ舟』に何を選択して載せるか、そして何を捨てるのかをも考えることができると感じています。」

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※画像は他地域での今年度の作品。中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックスにて廃校を活用した、創ること・生きることの拠点「月出工舎」。

EAT&ART TAROさん
「三島の間方地区。おもしろいお蕎麦がある(※詳しくはブログ記事「森のはこ舟、エクスカーション【三島編】を参照)。この地域の食文化を残したい。ただレシピや写真で残すのではなく、お蕎麦にまつわる周辺…例えば料理のエピソードや、蕎麦をつくった楽しい体験を残したい。新しい料理の記憶のしかたを考え、はこ舟に乗せたい。」

さて、森のはこ舟アートプロジェクト、キックオフフォーラムもそろそろ終演。
最後に、トークセッションとアーティストトークを受けた赤坂実行委員長からメッセージが送られました。「みなさん、ぜひ、このアートプロジェクトにご参加ください。」

はこ舟は、たくさんの人のお力添えで、どうやらなんとか無事に出航できたようです。
ただ、大変なのはこれから。おもしろくなってくるのも、これからです。
みなさま、ぜひ。このプロジェクトを一緒に盛り上げてゆくはこ舟の乗組員になってください。
森人と、アーティストと、そしてみなさまと(スタッフの私たちも加えて)。
はこ舟を漕いでいきたいと思っています。

(喜多方WG 佐川友美)

2014.06.21

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